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不動産投資・不動産経営を始めると「確定申告」が必要

2020.01.16

不動産経営を始めて待望の家賃が振り込まれました。
会社に勤めていると、給料は通常、そこから毎月所得税が源泉徴収され、その年の最後に会社が過不足額の精算(いわゆる「年末調整」)を行い、所得税を納税してくれます。
一方、家賃収入はどうなのでしょうか?

答えを先に言いますと、家賃収入を得ている不動産オーナーは基本的に「確定申告」をして、自分で所得税を納めるために必要な手続きをすべてしなければなりません。
今回は特に、会社に勤めながら初めて不動産所得を申告されるオーナーの皆さまに向けて、「確定申告」についてご説明します。

確定申告とは

「確定申告」とは、納税者自らが、毎年1月1日から12月31日までの1年間に得た収入から所得金額を計算し、それを基に税金を支払うための手続きです。
翌年の2月16日から3月15日(土・日曜日の場合は、週明けの月曜日)までの間に、必要な書類を税務署に提出することで申告を行います。

確定申告をしなければならないのはどんな人?

会社員などの給与所得者は通常、
・2か所以上から給与の支払いを受けている
・給与の年間収入金額が2,000万円を超えてる
など、税法で定める要件に当てはまらない限り、年末調整によって1年間の給与総額に対する所得税および復興特別所得税の納税が完了するため、確定申告の必要はありません。
ただし、給与所得者が不動産の貸し付けにより家賃収入を得ていて、不動産投資による所得金額の合計額が20万円を超えている場合は、確定申告をする必要があります。

また退職後も、年金受給者であれば、その年の公的年金などの収入金額が400万円以下で、かつ、不動産投資による所得金額が20万円を超えている場合は、確定申告が必要となります。
したがいまして、不動産投資による所得金額が20万円を超えている場合には確定申告が必要となり、その超過分の所得に掛かる税金を納付する必要があります。
これは、給与やボーナスに関する所得は、年末調整により精算手続きが行われることになりますが、それによって不動産の貸し付けに関する所得の精算までは行われていない(会社は精算してくれない)からです。

税額の計算のもとになるのは「不動産所得」

家賃収入と、税額の算出のもとになる「不動産所得」とは異なります。家賃収入額に対して税金が掛かるわけではありません。
マンションなどの不動産の貸し付けによる所得を「不動産所得」といい、他の所得との合計額に所得税と住民税が課されます。不動産オーナーは、1年間の不動産所得に対する税金を計算して、自身が納税する必要があります。
不動産所得の金額は、「総収入金額」から「必要経費」を差し引いて求めます。

<不動産所得の金額の計算式>
総収入金額-必要経費=不動産所得の金額

「現金収支上、赤字だったら、確定申告をしなくてもよいのでは?」
そんなことはありません。不動産所得が黒字であれば、確定申告が必要なケースがありますので、注意が必要です。
なお、不動産投資では一般的に、一棟物件よりも区分物件のほうが帳簿上赤字を生み出すことが容易なため、税金対策の観点からは、区分所有のほうが有利と考えられます。
確定申告は、収入と必要経費を正しく認識することが大事です。
次に、「総収入金額」と「必要経費」について、ご説明します。

総収入金額とは

総収入金額には、家賃のほか、礼金や更新料、駐車料、その他の賃貸に伴う雑収入が含まれます。加えて、返還を必要としないこととされている保証金や敷金の一部も収入となります。
不動産所得の金額を計算する際の総収入金額は、その年の1月1日から12月31日までに収入の確定したものです。

必要経費とは

不動産所得の金額を計算するときに控除することができる「必要経費」とは、総収入金額を得るために直接要した費用の額、およびその年に生じた管理費その他業務上の費用の額とされています。
主な必要経費は、以下のとおりです。

  • 公租公課(租税公課)
    固定資産税や都市計画税、印紙税、不動産取得税や登録免許税などは、必要経費に算入されます。一方、所得税と住民税は計上できません。
  • 損害保険料
    賃貸している建物の火災保険などの保険料は、必要経費になります。
  • 管理費
    共用部分の清掃や設備の保守点検などを行う建物管理会社に毎月支払う管理費は、必要経費に算入されます。
  • 修繕費
    建物の修繕に要した費用は、必要経費になります。
  • 減価償却費
    建物は、使用や経年によって価値が減少していきます。この価値の減少分を「減価償却費」といいます。必要経費の中でも、節税などの面から、減価償却費は特に重要です。建物の取得費をその年の必要経費として一括で計上するのではなく、一定の耐用年数の間で取得費を配分し、各年に計上します。
  • 借入金の利子
    賃貸用物件を購入するために、金融機関から資金を借り入れた場合の利子は、借入金利子として必要経費になります。会社にお勤めの方々の中には、「確定申告」という言葉を聞いたことはあっても、その内容についてはよく知らない、という方も少なくありません。ましてや、確定申告をしたことがない方も多いと思います。初めて確定申告をするときは、大変かもしれません。ですが、確定申告をすることで、不動産投資における収入や経費、税金の額などを把握することができます。さらに、次回のコラムでご紹介しますように、納税上のメリットもあります。
    その年の不動産経営の収支状況を正確に把握し、納税面でのメリットを漏れなく享受するためにも、誠実に申告されることをおすすめします。 

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