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不動産取引における消費税増税ー①【デメリット編】包み隠さずご説明します。

2019.10.28

消費税率の引き上げにより、不動産取引や経営においても負の影響があります。
今回は、不動産取引・経営に関する増税後のデメリットについて、具体例を交えてご説明します。

■消費税率の引き上げ前と後で税額の差は?

不動産取引において課税の対象となるものは、消費税率の引き上げによって税額が増えます。取引に伴って発生する費用が高くなるほど、増税前と後とで支払額の差が大きくなります。こうした差額は、大きな場合はもちろん、それほどないようなものでも積み重なると相当な額になる場合もあり、完全に無視することはできません。
以下に、不動産取引での課税対象をいくつか例に挙げ、消費税率8%と10%の税額の比較を示します。

・建物代金

例えば、中古一棟アパート(土地代金5000万円、建物代金3000万円)を購入する場合、土地には消費税が課されませんが、建物代金(3000万円)には課税されます。
このため、この物件では、
・消費税率8%の場合  消費税240万円
・消費税率10%の場合 消費税300万円
の消費税が課されます。
消費税率8%と10%では、支払額に60万円もの差が出ます。
建物代金が高くなるほど、本体価格に加えて税金の負担も大きくなります。

・仲介手数料

不動産会社を介して物件を購入する場合には、仲介手数料が発生し、これに対して課税されます。
仲介手数料は、物件の売買価格が400万円を超える場合、「物件の売買価格の3%」+6万円です。
先述したとおり、土地の売買代金は課税されません。しかし、土地の売買に関する仲介手数料は、土地の譲渡に関連する取引ではあっても、売買のあっせんというサービスの提供の対価となり、課税の対象となります。
例えば、中古一棟アパート(土地代金5000万円、建物代金3000万円)を購入する場合、仲介手数料は消費税抜きで
(5000万円+3000万円)×3%+6万円=246万円です。
これに課税されると、以下のようになります。
・消費税率8%の場合  消費税265万6800円
・消費税率10%の場合 消費税270万6000円
消費税率の引き上げにより、支払額が約5万円増えます。

・司法書士手数料

登記手続きを司法書士に依頼する場合、司法書士に報酬(手数料)を支払う必要があります。この司法書士手数料は課税対象です。
司法書士手数料が税抜きで10万円かかるとすると、
・消費税率8%の場合  消費税8000円
・消費税率10%の場合 消費税1万円
となります。

増税後の支払額は2000円アップします。金額こそ上の2つと比べて少ないですが、物件の購入や売却などを重ねていくと、小さな支出は積み重なっていき、かなりの額となります。このため、普段からコストに対する意識を高く持っておくことが大切です。

■不動産取得後も負担増

消費税率引き上げによって、物件の売買時だけでなく、不動産を所有して管理する際にも負担が増えます。
定期的にかかる費用の代表的なものについて、以下に示します。

・管理手数料(賃貸管理費、建物管理費)

例えば、一棟マンションを所有し、不動産管理業者に管理を委託している場合、毎月、賃貸管理費と建物管理費がかかります。
管理業者に支払う管理手数料(管理委託料)には、消費税がかかります。
賃貸管理費とは、入居者の募集や契約、毎月の家賃の回収、入居者からの問い合わせなどに関する業務について管理業者へ支払う費用をいいます。

賃貸管理費は、賃料の3~5%程度が相場です。例えば、家賃が5万円のワンルームタイプで総戸数20戸の一棟マンション(満室)の場合、家賃の3%の賃貸管理費がかかるとして税抜きの金額は、
5万円×20戸×3%=3.0万円/月
となります。

これに消費税がかかると、以下のようになります。
・消費税率8%の場合  消費税2400円
・消費税率10%の場合 消費税3000円
増税前後の税額の差は、1か月当たりでは600円と、さほど実感は湧かないかもしれませんが、1年では7200円となります。そして、これが数年間続くと、その差は更にはっきりと表れてきます。

一方、建物管理費とは、共用部分(エントランス、廊下など)の清掃やメンテナンスなど、建物を維持するために必要な費用をいいます。中でも、清掃費が大きな割合を占めます。清掃費は、作業の頻度や内容、建物の規模や設備・仕様などによって異なります。
加えて、建物管理費は、エレベーターの有無や基数、増圧ポンプの有無などによっても増減します。

・共用部分の水道・光熱費

さらに、共用部分の清掃などを行う場合、水道代や電気代が別途かかります。水道・光熱費には消費税が課されますが、軽減税率の対象ではなく、税率は10%に引き上げられました。
建物管理費と共用部分の水道・光熱費は、物件ごとの事情などによって異なり、一律ではありません(※)。
しかし、これらの費用は毎月発生しますので、少なくとも長いスパンで見たときに、消費税率の引き上げによる税額の上昇は到底看過できません。

■まとめ

今回ご説明してきましたように、不動産取引・経営では、増税により、多かれ少なかれ出費が増えます。
税額の上昇はもはや仕方がないものと考え、管理手数料を見直すなど、支出を抑えられるところがないか、この機会に検証してみることも必要なのではないでしょうか。

※不動産投資に関する書籍の中には、RCマンションの建物管理費を「1200~4800円×延床面積(坪)」、水道・光熱費を「720~1800円×延床面積(坪)」という計算式によって見積もることを提唱しているものもあります。

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